どちらか言えば飛行機好きなのですが、なぜか飛行機のプラモをほとんど作ったことが有りませんでした。ひょっとすると、昔から飛行機の作例って物凄くレベルが高くて無意識に超え難い敷居を感じたり、作業の比率として塗装の部分が多いのも、ちょっと他のプラモデルと違ったのかもしれませんね。
というわけで、現用機でしかもステルス機なんてこれまで一度も作ったこと無いという状態だったのですが、家族から誕生日プレゼントにF-35Bをもらってしまったのです…大昔に零戦52型を作って以来何十年ぶりかの飛行機制作となりました。
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現用機のプラモどころか、飛行機なんてほとんど作ったこと無い…F35は大丈夫なのか?
最近のハセガワのボックスアートかっこいいですよね!でも、こんな感じに仕上げる自信も予感は全然有りません…
とりあえず、箱を開けてパーツを確認します。
パーツはゴロッとしてて比較的少ないけど、デカールが一枚で物凄く大きかったり、激細だったりするのをみると、思わず怯みそうになりますが、そもそも現用機って塗装大変なんじゃないの?キャノピーの縁とか、ちゃんと塗れるの?とか不安しか無い状態で制作をスタートしました。
もちろんエアーブラシとかも持ってないし、普段作ることの有る艦船模型と同じように筆塗りで作ってみようかなと…
と言うわけで、本記事は熟練の現用機モデラーの人には何の参考にもならない記事ですが、私のように経験の無い人が組み立てるのに、ちょっと参考になればなと思って書かせていただきます。
胴体なんかは、ほぼ上下二分割で、主要な部品としては水平、垂直尾翼ぐらいしか分かれていません。
その他細々とパーツはありますが艦船ほどパーツ量はありません。
そして、初めての私にはどう見ても難易度高すぎなデカール…当たり前のように予備はついてないので失敗は許されません。キャノピーの枠も上手く塗り分けられるのか?
まずはF35B機体の組み立て
F35は、実機の配備が始まったばかりの戦闘機なので、ハセガワの中でも比較的新しいキットです。そんな事もあって、パーツの合いも良くて組み立てそのものは楽々に進みました。初心者が比較的最近開発された機種を作るのは有りかもしれないですね。
部品数が少ないのも有ってサクサク組立っていくのですが、接着する前に用心深く仮組みして塗れなくなる場所とか、作業しにくくなる場所がないか確認しながら接着していきます。
今回、少し失敗したのは垂直尾翼です。F35はステルス戦闘機なので、垂直尾翼が外側へ傾斜しています。そのため、一度垂直尾翼を接着してしまうと作業しにくいのです。垂直尾翼などはパーツも大きく、取り付けると飛行機ぽくなるので、思わず取り付けたくなりますが、よくよく作業の手順などを考えてから取り付けをお勧めします。
他の模型でも同じかとは思いますが、塗りにくい場所は予め塗っていきます。今回は、筆塗りなのもあってサーフェイサーを吹いていません。
他のプラモでも同じですが、組み立ててしまうと塗れなくなったり、塗りにくい場所を先に塗ってしまいます。接着面に塗料が付いていると上手く接着できないので、注意が必要ですね。ダクトの奥も垂直離着陸用のハッチが開いて見えちゃうので、塗っておきます。
色を塗ってないのもあって、宇宙服のようなパイロット。最新型の戦闘機だなって実感します。ちなみに、1/72のフィギュアって塗れるのか?って別の問題も有ったのですが、キャノピーを閉じるとほとんど見えないので、大丈夫じゃないかと思います…
一応可動式のノズル。一応というのは、中々スムーズに可動させるのが難しかったからなのですが、結局位置を決めて固定にしました。
現用機はやはり塗装が難しい…
普段作っているのが艦船模型なのも有って、ベタッと広い面積を均一に塗ることは有りません。それと比べると1/72とは言え、現用機はヌル・ベタっと広い面積の平面や曲面が多く筆塗りだと難しいなと実感。
薄めた塗料を何度も塗ってムラを減らしていくのは基本ではないかと思います。
特に手こずったのがマスキングテープの扱いでした。普段作る艦船模型だとマスキングテープを使うのは艦底部とそれ以外の部分の塗り分け程度なので、比較的難易度が低いのですが、現用機の場合そうは行きません。
しかも筆塗りだとマスキングテープの下に毛細管現象で塗装が入ってしまうのも難しい…
何度か手直ししたりしているうちに、平筆でベタッと塗ってしまうと塗料を多く含んでいるので染み込み易い気がしてきました。ムラは出来やすくなりますが、面相筆を使うようにしてから、比較的失敗なく塗り分けられるようになった気がします。
塗り分け面に近い場所は面相筆で塗料を少なく含ませて塗り、広い面積は平筆で塗るなどの使い分けも有りかもしれません。
マスキングテープ難しい!エアブラシ使う人なら必須の技術なのでしょうが、今後の技術力向上が必要だなと実感しました。
ステルス機ってキャノピーに金のコーティングがされてる気がしてたのですが、F35って全然金色じゃないんですね。ちょっとやりすぎました…大戦機と違ってキャノピーの枠の本数が少ないので、マスキングも比較的ラクでした。
そして、デカール地獄へ…
F35は普通の戦闘機よりもハッチ類が多くデカール貼れなくなってしまいそうだったので、組み立て途中からデカールを貼り始めました。塗装は済ませてあります。
制作を進めてゆくと共にデカールに手を付けねばならない時が近づいてきます…だから俺には無理だと言っただろ!って感じですが、貼らないと完成しないので、意を決してデカール貼りに突入!
デカールを貼る段階も注意が必要で、取説通り全部組み立ててからデカールを貼るのはとても無理です。ハッチと機体に挟まれてしまう部分や、ハッチそのものに貼るデカールも有るので、ハッチや脚を取り付ける前にデカールを貼ることにしました。
結果から言えば、初心者でも慎重に作業を進めればデカールを貼る事は出来ます。
作業を進めるに当たって、必ずピンセットとマークセッターを用意してから作業を進めて下さい。マークセッターはデカールを柔らかくして接着を強固にする液ですが、実は何箇所か失敗。
マークセッターは予め塗布しておいてからデカールを貼るように説明されていますが、どうも先に塗ってしまうとデカールがベロンベロンに伸びてしまって、モールドの場所と合わなくなってしまうようです。国籍マーク程度のデカールなら、先に塗布してもよいのでしょうが、F35のライン上のデカールに関しては上手く行かない印象でした。
とは言え、マークセッターを使わないと機体表面に馴染まない箇所も多いので、途中からデカールを貼って、位置決めをしてからデカールの上からマークセッターを塗布する方法に変えました。ただし、この使い方は正規の方法では無いので、デカールの耐久性など保証できないのが問題かもしれません。
とりあえず、この方法に切り替えてから、表面のディテールとデカールの合いは確実に良くなりました。
デカールによっては、こんな複雑な曲面に沿うのか心配になる部分もありますが、マークセッターを塗るとかなり柔らかくなるので、大丈夫です。面に沿わないデカールは有りませんでした。
後は、水を入れる容器や皿も必要ですね。私は水をこぼしにくくて便利なので、百均で買ってきた蓋付きのタッパーを使いました。水にデカールを浸ける時間を計るのにストップウォッチや時計も用意しましょう。短い目の時間でデカールが動くかどうか確認しながら、慎重に進めて下さい。千切れたら修復が大変です。
私は説明書の時間よりも長い1分10秒ぐらい水に浸けています。
貼ってみた感じでは、比較的サイズの大きなデカールは貼りやすく、機体やハッチの縁ギリギリに貼らなければならないライン上のデカールがとにかく難しかったです。貼ってる途中に家族から声をかけられたりすると絶対失敗するので、家族にもその旨伝えておきましょう…犬猫などペットも要注意です。
- 台紙から貼る位置でスライドさせる。ごく小さなデカール以外は台紙から剥がして運ばない。
- 小さいのや細い物はデカール向けのピンセットで。
- ズレた時はもう一度少量の水を付けて調整する。
- デカールがクチャクチャになったときも諦めず慎重に広げる。
- 広げるのが無理そうなときは、一度水に浸けてみる。
- デカールが千切れても泣きわめかず慎重に合わせる。
- 非常に小さいデカールも有りますが、場合によっては省略も有りかなと思います。
デカール貼りは冷静さと失敗したときに諦めない粘りが極意ではないかと感じました…ちょっと修行ぽいですね。
デカールの上にデカールを貼る箇所も結構有ります。完全に下のデカールが乾いてから上のデカールを貼りましょう。
ついに完成!初めてでも無理ではない!
デカール地獄も何とか乗り越え、残っていたハッチ類と脚を接着して、ついにF35完成。デカールは神経を使う上に数が多いので大変でしたが、完成にこぎ着けました。なんでステルス機なのに、こんなハデハデのデカール選んでるんだよ!ってツッコミは有りそうですが、これは好みなので許してやって下さい。
ちょっと老け込んだじゃないかと心配になりますが…パーツ数の少なさの割に達成感の高いプラモでした。
現用機のプラモでは機首に重りを入れないと尻もちを付くキットが多いようですが、F35は主脚の位置がかなり後ろなのも有って、機種に重りを入れなくても尻もち付きませんでした。どのぐらい重り入れたら良いのか分からないので、心配でしたが助かりますね。
F-35は単発エンジンの戦闘機なのも有って、双発のF-22と比べると下位グレードみたいだし、ステルスだし、ヌルっとしてて見慣れない形だし…みたいなイメージですが、見慣れてくると、短い機首など結構ゴロッとしてて可愛くも見えてきます。
今後何十年かは西側世界の主力戦闘機となるのは確実なので、だんだんこの姿も見慣れてくるのではと思いますが、是非皆さんも制作して早くこの姿に慣れてほしいなと思います!
今回は、もらったのがF-35Bだったのですが、ハセガワからは垂直離着陸能力がない通常版のF-35Aもラインナップされています。こちらはハッチの数も少ないので、もっと組み立てが楽なのではないかと思います。塗装やデカール貼りに集中したい人や、少しでも作業量を減らしたい人はF-35Aを選ぶのも有りかなと思います。B型を作ると、A型も、まだ無いけどC型も欲しくなりますね。
また、ステルス機は機外に装備を吊るさない点も今までの戦闘機と違いますが、ハセガワからは機外に装備を搭載したビーストモードのF-35も発売されるようですので、これからは、今までのイメージの違うF-35も見られると思います。